暇日記
オランダ在住四半世紀以上、定年も眼前に見えて暇つぶしの稽古、 ご意見、ご感想をいただけると幸いです。
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空港にて (2)



Sun. 20 Oct. ’07

午後のテナーバトルセッション、夜のフリージャズコンサートをキャンセルしてスキポール空港に1週間ほどバカンスでイタリアを歩いて戻ってくる家人を迎えにいった。 家を出る前にインターネットでナポリからの便が遅れていないか調べてみると案の定、5時15分到着が45分頃になると出ているからこの遅れで浮いた時間を午後の射撃大会で使った銃の掃除をする30分に使えると庭に出て銃身のなかに硝煙が煤になってこびりついたものをきれいに取り除き植物性の機械油を施し保管庫に納めた後、車で高速を空港に出かけたのだがそのときに贔屓の3人テナーマンがその技を競うのを聞き過ごしたのを残念に思いながらカーステレオで道路情報を間に交えたFM局のジャズを聴きながら交通量の多い流れに乗った。

空港もこのまえと比べると格段に交通量が増えて駐車場にもかなりの車が詰まっており都合よくエレベータに近いところに一つだけ空いたスペースに停めることができた。 この前まだ暗い朝に通った動く歩道から見るスキポールと書かれた正面玄関をみるとその前にいくつも客を乗降させるタクシーや各種のバスが見えて、やはりこのような活気があってこそ例え自分は飛ばなくとも送迎だけにしても心が弾むというものだ。 いくつもある店舗も開いていて眺めるにしても興がある。 このまえの早朝5時半にしまっていた空港を見渡す階上にあるバーで何かを飲みながらイタリアからの往復で3万円ほどのチャーター便を待とうかと思いつつ中央ホールのいくつもあちこちにかかっているモニターを見ると30分遅れだったものが15分遅れに戻っている。 これでは上のゆったりしたバーに上がっている時間が無い。

待つ時間が短縮されたのだから喜ぶべきなのだろうが何か好きな饅頭をトンビに攫われたような気がして到着ゲートのほうにそのまま向かうと到着の人々が待ち人と顔をあわすあたりに迎えの老若男女が集っている。 そこからはガラスの仕切りを通して飛行機から降りてきた人々が大きな荷物がベルトに乗って回りながら出てくるところが見え、多分、飛行機からは100mも離れていないのではないかというぐらいで客達の様子もそのようなのだ。 だから待ち人たちもつぎつぎに手荷物だけで降りてくる人々を遠くに見てその中に家族や見知った人がいれば手を振って合図するという風なのだ。

わたしの便はといえばまだランディングの予定時間までは10分ほどあるのだからとすぐ近くにあるカウンターのバーで冷凍庫から取り出したオランダ名産のジンを同じくそこから取り出した霜がチリチリについたショットグラスにとろとろ注いでもらって一気に飲み干してもどると予定時間がまた4分戻っていた。 テイクオフとランディングの数分間がもっとも危ないそうなのでランディングの確認がでるまではここでは宝くじほどの確率が当らないようにと祈るばかりだ、と思っているとその確認が出、機のタクシー時間もそこそこに10分ほどで家人の姿がガラスの向こうに見えた。 すぐにお互いに認め合い、私は待ち人たちが集う扉のあたりを指差してそこで待つ旨を伝えそちらに向かったのだが、それからが20分ぐらいかかる。 荷物の出し降ろしに時間がかかるからこの時間だけはなかなか短縮するのが難しいようだ。

スランクフルトには何年か前にヨーロッパ一位の座を譲ったもののスキポールはゆとりのあるヨーロッパの大空港だ。 ロンドンのヒースローは古い空港でもあるからあちこちバスで回りまわって運ばれる途中にごみごみとした荷物集積運搬の倉庫近くを通るとミスが起こらないほうが不思議なほどのカオスがみられる。 そんなことを考えながらまわりの待ち人たち、他の便で降りて扉を出てくる人々を眺めているといろいろあって面白い。 

大抵は極普通のスーツケースをごろごろひっぱってドアがあくと急に待ち人が集まった正面を眺めて一瞬緊張し、待ち人を見つけると急に顔色が緩む、というようなことが繰り返される。 孫が爺さん婆さんを待っている場合もあればその反対もあり、手製の幟に何か名前を書いた布を広げて遠征チームを待つ賑やかなお祭り騒ぎの一群もある。 この寒い時期にT−シャツ、短パンで出てくるのは熱帯や南半球から戻ってきた人たちだし、扉が長く閉まったままでなかなか人が出てこないときに皆が扉が開くのをまっているそのとき急に開いて3つぐらいの男の子が一人だけ出てきてすぐ扉が閉まるということもある。 普通はその親が大きな荷物が載ったカートを押して出てくるのだがその後ドアはなかなか開かない。 子供は一瞬舞台の上で観衆の目を一度に集めたようなひるみ顔を見せるのだがすぐおじいちゃん、おばあちゃんの顔をみつけてそちらに走っていくというようなこともある。

ぽつりぽつりと人がでてくるのに退屈して気をそらしていたのだろうか、急に目隠しをされて家人がいつの間にか扉から出て来ていた。 抱擁をして向こうのカートの方に向かうと年配の女性がそこにいてその人は今回の4,5人の小グループの参加者でたまたま家の近所に住んでいることがナポリに着いて分かったのだというのんびりとした話だ。 二人分の荷物を駐車場に運ぶべく動く歩道近くの料金精算所の機械にカードを入れるとこの前と同じく1時間ほどだったにもかかわらずこんどは5.8ユーロ(約870円)となって2ユーロ高くなっている。 早朝と今の時間では料金が違うのだろうが、これでは皆がこのべら棒な高さに憤慨するはずだ。 それにしてはバーのジンの料金はどうだったろうか、、、、と思い起こしてみるとやっぱり高い。うちの近所のカフェの倍は払っていた。

我々のような普通の人間にはこのような場所はハレの場だ。 ハレにはご祝儀がつきものでお神酒には祝儀を出しても駐車料金にはご祝儀は出したくない。
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